日本興亡の分岐点 安倍待望論 番外編 Part2

まさに文字通り、日本の存亡をかけた総選挙。

国際政治学者・深田匠氏の小論文の核心部分を紹介したい。

日本興亡の分岐点 安倍待望論 番外編の Part2 です。 【転載歓迎】


日本興亡の分岐点 安倍待望論 番外編 Part1
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201211article_10.html


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第二次安倍政権待望論・番外編(Part2)
2012総選挙論~日本興亡の分岐に立ちて~
 (作家・国際政治学者 深田匠)


第三部 党派で決め付けずに人物本位の投票を!

党派ではなく人物本位での投票を呼びかける以上、ある程度の目安となるガイドラインをここに提示しておきたいと思う。

まず自民党においては、安倍氏が会長を務める「創生日本」(http://www.sosei-nippon.jp/)には自虐史観から脱却した国益重視の逸材が集結されている。もし読者の選挙区内に「創生日本」所属の候補者がおられたら、無条件で支持・投票していただきたい。

それ以外に目安となる自民党系議連としては、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」「日本の領土を守るため行動する議員連盟」「伝統と創造の会」「日本教職員組合問題究明議員連盟」などの所属議員についても基本的に推薦できる愛国者がほとんどである。ちなみに清和会(町村派)所属の議員についても原則的に推薦できる人物が大半を占めている。

ともあれ安倍氏が総裁となられた以上は、自民党がより多くの議席を得ることが「戦後体制」からの脱却促進につながるため、よほど問題のある人物以外はなるべく自民党候補者に投票されることをお勧めしたい。

その「よほど問題のある人物」とは中国に媚びて国益を譲り渡す対中従属主義者や「戦後体制」護持に固執する護憲左派などのことである。

河野洋平・古賀誠・福田康夫・山崎拓など大物媚中派が引退したために顔ぶれがやや小粒になってきた感はあるが、私が選ぶ「自民党の媚中左派」の現在の筆頭格とは、二階俊博、加藤紘一、野田毅、河野太郎、後藤田正純、野田聖子あたりであろう。

選挙前なのであえてこれ以上の厳しい批判的表現は自粛するが、これらの候補の選挙区有権者は「自民党だから支持する」といった党派での判断が通用しない候補であることを忘れないでいただきたい。

民主党については、逆に「絶対に当選させなければならない国益重視派の議員」の名前を挙げておきたい。私がその政治姿勢を評価している民主党議員は、松原仁、北神圭朗、渡辺周、吉田泉、長尾敬、長島昭久、鷲尾英一郎、田村謙治、笠浩史、牧義夫、小泉俊明などの各氏である。(なお現在、長男敬氏は離党、小泉俊明氏は「減税日本」に移籍、牧義夫氏は「国民の生活が第一」に移籍されている)。

民主党議員について人物本位で見分ける最大の判断基準となるものは、党内保守派議員によって結成された「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」である。この会は河野談話の見直しを求め、中国が捏造した「南京虐殺」なる反日プロパガンダを打破する目的で結成されている。

松原仁氏・北神圭朗氏・渡辺周氏・吉田泉氏・鷲尾英一郎氏など、この会に所属されている約20名の議員は自虐史観から完全に脱却されており、「戦後体制」を超える新しい国家体制構築の重要性を認識しておられる国益重視派の面々である。

また民主党内で外国人参政権に反対しているメンバーによる「永住外国人の地方参政権を慎重に考える勉強会」についても、松原氏・北神氏・渡辺氏・鷲尾氏など、その大半のメンバーが「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」と重複している。

この2つの議連に所属されている民主党保守派のメンバーこそ、外国人参政権付与や対中土下座外交を推進しようとする民主党政権の動きを党内で懸命に食い止めようと努力してこられた方々なのである。

左派労組を支持基盤とする民主党内で保守的な主張を行うのは、自民党内でそれを行うよりもはるかに勇気がいることである。自民党議員以上にぶれない信念を持っていなければできないことである。

「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」及び「永住外国人の地方参政権を慎重に考える勉強会」の所属議員名はウィキペディアで確認できるが、この両議連に同時所属されている議員だけは決して落選させてはならないと私は考える。自虐史観から脱却されている政治家こそ、国家再生のために、「戦後体制」脱却のために必要な人材だからである。

例えば鷲尾英一郎氏は支持者を前にして堂々と「東京裁判史観からの脱却」を公言されている。

渡辺周氏は「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」の会長である。

松原仁氏は衆議院外務委員会などで何度も「慰安婦強制連行」「南京虐殺」を否定する主張を行ってこられた。「日本は中国に謝罪するべき」と主張している石破氏よりもはるかに立派な政治姿勢である。

ちなみに私が民主党で最も高く評価しているのは北神圭朗氏である。

北神氏は財務省キャリア官僚の地位を捨てて敢えて野中広務が絶大な影響力を持つ選挙区から出馬され、「野中王国」と呼ばれる野中利権構造を崩し、媚中派のドンである野中氏の政治的影響力を抑えるために激しい政治闘争を闘ってこられた。

頭脳明晰で「日本が大国であり続けること」を目指す信条の持ち主であり、米国で育ったこともあってスケールの大きな国家戦略観を持っておられ、世界のトップリーダーが一堂に会する世界経済フォーラム(ダボス会議)において「ヤング・グローバル・リーダー2007」に選出されておられる。

その有能さゆえ当選2回ながら野田政権下では経産大臣政務官と内閣府大臣政務官の2つを同時に任されるという異例の抜擢を受けられた。

櫻井よしこ氏ら保守派知識人との交流も深く「慰安婦強制連行」などの自虐史観を明確に否定され、終戦記念日には靖国神社に参拝されている。

日本の生命線である台湾とのパイプも太く、2010年には安倍氏も加わった訪台議員団の団長も務められた。

民主党の「デフレ脱却議連」副会長も務められ、会長の松原仁氏とともにデフレ脱却に向けた動きを党内で最も熱心に推進しようと努力してこられた方でもある。これはあくまでも私の個人的主観ではあるが、民主党の全議員の中で最も優秀な国益重視派の人材を1人選ぶとすれば私は北神氏の名前を挙げる。

これまでに私の拙著をお読みいただいた読者は数万人、ネット公表の論文をご一読いただいた方はもっと多くおられるかもしれない。私の政治思想や日本が目指すべき国家戦略の方向について共感いただけるならば、その方たちにお願いしたい。

北神氏・松原氏・渡辺氏・鷲尾氏など「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」「永住外国人の地方参政権を慎重に考える勉強会」両議連に所属される民主党議員の選挙区有権者の方は、なんとしてもこれらの愛国議員諸氏が当選できるように周囲に支持を呼びかけていただきたい。

もしも時間が許せば選挙を手伝うボランティアにも参加してほしい。民主党に大きな逆風が吹いているが、その中には日本の宝である貴重な人材も存在しているのだ。

民主党を離党された長尾敬氏についても私見を述べておきたい。

城内みのる議員のブログ
http://www.m-kiuchi.com/2012/11/16/nagotakashiganbare/)によると、長尾氏に対して地元で「変節漢」「こうもり野郎」などといった非難が浴びせられているとのこと。

しかし私は長尾氏の行動は間違っていないと感じている。変節漢というのは、出世や当選のために自らの思想信条の信念を曲げて迎合することを指す。保守主義の信念を持っているのに民主党内で優遇されたくて左翼的主張に転じることこそが変節なのである。

長尾氏は「安倍氏の理想を支えたい」という自らの政治信念に従って離党されたわけであり、それは私が切に願ってやまない政界イデオロギー再編に沿った行動でもある。

党派がどこであろうが「戦後体制」からの脱却の重要性を認識する議員は日本にとって必要な人材である。離党や移籍をいちいち問題にするのならば、何度も離党と復党を繰り返してきた石破氏など一体どうなるのか。

同じ政治思想を共有する議員が同じ政党に集結するイデオロギー再編の一環として、私は長尾氏の行動を支持したいと思う。

日本維新の会については新人候補が大半を占めているため、率直に言って個々の候補者の政治的信条がほとんどわからない。

維新の会は人物本位ではなく党派に対する支持を求めている感があり、私の視点とは相容れない。

しかし旧たちあがれ日本から維新に合流された議員の方々、とりわけ平沼赳夫氏、中山成彬氏、西村真悟氏、山田宏氏らについては日本の再生にとって絶対に必要な貴重な人材であることを強調しておきたい。

最後にその他の諸派についても一言ずつ論評しておく。

減税日本を率いる河村たかし名古屋市長は南京事件を否定するという極めて良識ある真っ当な歴史観を示された。

この点において私は橋下氏よりも河村氏のほうを高く評価している。減税による消費拡大が結果的に国の税収を増やすという考え方も正しい。減税日本は亀井氏の新党と合流されるとのことだが、自虐史観を否定するその健全な政治姿勢は堅持していただきたいと願う。

新党改革については、代表の舛添要一氏は国際政治学者の大先輩ではあるものの政治家としては私はまったく評価していない。

舛添氏はよりによって狂信的媚中派の野中広務氏を尊敬すると公言しており、その政治姿勢においても「戦後体制」を信奉する左派リベラル色が強い。幹事長の荒井参議院議員は「創生日本」に所属しておられ安倍氏と親しいだけに本来は自民党に復党していただきたい人材である。

国民の生活が第一については、牧義夫氏など少数の真っ当な保守派もおられるが、要の小沢氏が大訪中団を率いて朝貢外交するなど媚中派ぶりが度を過ぎていることから私の立場からは到底評価できない。

なお社民党や公明党の自虐史観や媚中主義については今さら言及するまでもないだろう。

安倍自民党の公約は、集団的自衛権の行使、憲法改正による国防軍創設、国家安全保障会議創設、サイバーテロ対策強化など安全保障面でも正しい国家戦力を打ち出されているが、とりわけ注目するべきは教科書検定における「近隣諸国条項」の見直しであろう。

中国・韓国に媚びる目的で設けられたこの条項のせいで、日教組に迎合する教科書会社が盛り込んだ幾多の自虐史観記述が検定でフリーパスとなり、対中贖罪観のもとになる自虐史観が延々と刷り込みされてきたのだ。

「近隣諸国条項」の鎖を断ち切り自虐史観の刷り込みにストップをかけることは、「戦後体制」をここで終わらせるという安倍氏の強い決意であろう。

今、日本は国家として盛衰の分かれ道にある。これからのおよそ5年間ぐらいの国家方針しだいで、以後の長き未来の全てが決まる。その理由は次の章を読んでいただければお分かりになるだろう。

すなわち中国との冷戦を勝ち抜く覚悟を固めるのか、衝突を避けて中国の属国となって衰退するのかの選択である。

自虐史観を土台にした「戦後体制」がこのまま続けば、日本は衰亡の一途をたどり中国に併呑される。私たち日本人の全ての未来はひとえに「戦後体制=自虐史観」からの脱却如何に委ねられているのである。


第四部 日中冷戦の幕開けと「戦後体制」からの脱却

中国の軍事費は1989年以来24年間連続して前年比2ケタ増の伸びを続けている。

とりわけ制海権を得る海軍力を重視しており、米ウォールストリート・ジャーナル紙は「2020年頃には4~5隻の国産大型空母を建造・配備するだろう」と指摘している。

核弾頭の増産も続いており、31省中の29省に核兵器を配備し、さらに海中から確実に標的を狙える原子力ミサイル潜水艦による核報復能力の拡充をもって米国に拮抗する超軍事大国になろうとしている。

いずれは西太平洋から米国を追い出して海洋覇権を確保し、米国からその世界覇権を奪い取る意思を露にしてもいる。

実質14億人近い巨大な人口を抱えて民衆の自由を抑圧しつつ共産党の一党独裁を維持するには、世界中の天然資源や食糧を独占的に収奪して自国の成長を維持させるしか方途はないからだ。

水深や基地用の島嶼状況などにおいて原子力ミサイル潜水艦の展開に適合する海洋地理条件にあるのは南シナ海である。

それゆえに中国は米軍がフィリピンから撤退するのを待ち構えて1995年に南沙諸島の実効支配に着手し、フィリピン領ミスチーフ環礁に漁民を上陸させ、漁民保護を口実にして人民解放軍が出動してこれを軍事占領してしまった。

世界地図を中国の側から眺めてみるとわかりやすいが、中国が海洋支配するための太平洋への出口は非常に限定されている。黄海は対岸に米国の同盟国である韓国がせり出している。

東シナ海は九州・沖縄~南西諸島~尖閣・台湾によって完全に遮断されている。南シナ海はフィリピン群島が遮っており、地政学的に中国は海洋国家の領海に包囲されている状態なのだ。すなわち中国が海洋覇権を得るにはいずれかの包囲を破って太平洋への出口を確保する必要がある。

中国は九州・沖縄・台湾・フィリピン・マレーシアへと連なるラインをまず支配するべき「第一列島線」と定め、南シナ海と東シナ海を制圧下に置くことを最優先している。

そして「第一列島線」内を自国の覇権下に収めた暁には、「第二列島線」すなわち伊豆諸島・小笠原諸島・グアム・サイパン・パプアニューギニアに至る広大な海域を支配することで、米国から世界覇権を奪取する戦略なのだ。

もし仮にその戦略が実現した場合、中国の経済力は米国に拮抗ないし追い抜いている可能性が高く、太平洋を手中におさめた中国はで世界覇権を握ることになるであろう。

米国ではオバマ政権は当初の1年間ぐらいは伝統的に親中嫌日である米民主党のご多分に漏れず、「G2」などといったあらぬ妄想を唱えることが多かったが、しだいに中国の危険な膨張主義に気付いて目を覚まし、現在は対中包囲網構築によって中国を封じ込めようとする戦略に180度転換した。この転換によって、覇権の維持を図る米国とそれを奪おうとする中国との冷戦は開始されたのである。

日本でも米国でも「中国との経済的な相互依存がこれだけ大きくなれば冷戦のような状況にはならない」などと主張する人がいるが、経済学の大家ピーター・ドラッカーは「国家というものは、経済よりも崇高な存在であることを必ず経済に思い知らせようとするときが来る」と述べており、いくら経済的な結びつきが大きくても戦争ないし冷戦は起こりうることを指摘している。

冷戦とは政治・軍事・経済・国際的影響力など国家の総合的パワーによる覇権争奪戦である。

自由と民主主義を国是とする米国と、共産党一党独裁に固執する自由抑圧国家である中国とは、その本質において価値観の共有は不可能であり、米ソ冷戦と同じくイデオロギー型の冷戦は不可避である。

米国は米ソ冷戦には勝利したもののその代償に巨額の財政赤字と対外債務をかかえるに至った。

2000年あたりを境にして米国の海軍力は降下している。そして米国は覇権循環の引き金となる「国力衰退戦争」、すなわちアフガニスタンやイラクとの戦争に突入してしまった。さらに今後イランとの開戦の可能性も否定できない。

それゆえ米国の国際戦略は従来の「選択的関与(米国にとって重要な地域は同盟国と協力しながら関与して勢力均衡を図る)」から「オフショア・バランシング(米国の国益を害しないかぎり他国には介入しない)」へシフトする傾向も見られる。

尖閣において日中の軍事衝突を何とか回避させようと米国が躍起になっているのは、オフショア・バランシングの発想に由来する。米ソ冷戦の時代と比べて明らかに米国の力は弱くなっているのだ。すでに米国は単独で中国を封じ込めることが困難になっている。

それではこのまま「次なる覇権」はやがて中国へと移ってしまうのだろうか。

国家間関係を宗主国と属国の主従関係とみなす中華思想の国。自由と民主主義を認めない一党独裁国家。共産国家を謳いながら僅か1%の党高級幹部とその子弟が国の富の半分以上を独占する世界一の格差社会の国。

これまでに自国民を8千万人も殺害し、一度たりとも中国領だったことのない独立国チベットや同じく独立国であった東トルキスタン共和国を侵略併合して虐殺を行い、フィリピンなど力の弱い国の領土を強奪する、そんな「悪の帝国」が次なる世界覇権を握ってしまうのだろうか。

実は中国の覇権拡大をくいとめることができる国が世界で1国だけ存在している。

それが日本である。

現代地政学の始祖ハルフォード・マッキンダーは、近接する地域で大陸国家と海洋国家の国力が均衡したときに起こる地政学的衝突について「海洋国家が戦争を怖れずに正面から衝突した場合は海洋国家が勝利をおさめる」と説いている。

現代の覇権とは海洋支配権力のことであり、国力が均衡している場合は明らかに海洋国家のほうが有利な条件にあるからだ。

しかしマッキンダーは同時に「海洋国家が衝突を回避しようとすれば、大陸国の属国となって服従するしか国家として生存する方途はない」とも述べている。衝突を回避するには大陸国家の海洋侵出を容認するより他はなく、海洋国家がそれを容認すれば制海権を失ってしまい服従するしか道はなくなるからだ。

『文明の衝突』のサミュエル・ハンチントンは、「どこか他の強国が中国に対する主体的バランサーになるなら、アメリカは二次的なバランシングの役割を果たして中国を封じ込めることが可能だ。バランサーとして考えられる唯一の可能性は日本だが、そのためには日本の政策が根本的に変わる必要がある。日本は急速に軍備を拡大し、核兵器を入手し、他のアジア諸国からの支持を積極的にとりつけることが必要だ」と述べている。

すなわち中国の覇権を抑止するための戦略的衝突(冷戦)においては、距離的に遠く離れた米国は二次的なポジションであり、中国の海洋侵出に直接対峙している日本こそが第一の主役であるということだ。米中冷戦は同時に日中冷戦そのものに他ならない。

実は中国というこの巨大かつ危険なモンスター国家を地上に生み出してしまった最大の責任は日本にある。

より正確にいえば日本の自虐史観と妄想平和主義にある。かつて東京裁判で一方的な日本悪玉史観を与えられた敗戦国日本は、その後長年に亘って国内の媚中左派勢力が教育やマスコミ報道を通じて対中贖罪史観を国民に刷り込み続けてきた。

中国に不利なことは報道しない「日中記者交換協定」を結ばされたマスコミは中国の走狗と成り果て、日教組や全教が牛耳る教育現場ではひたすら子供たちに「日本は中国を侵略した悪い国」と教えこんだ。

中国共産党と意を通じた朝日新聞は「南京大虐殺」なる虚構の自虐史観プロパガンダ喧伝に狂奔した。

捏造された数々の「戦争犯罪」なるものを鵜呑みにした対中贖罪観念は日本政府の土下座外交を招き、「近隣諸国へ配慮」して日本は軍事力を自ら封じ中国本土への攻撃能力を放棄するに至った。

1979年から開始された対中ODAは、形式的に国際協力銀行などを迂回した援助も合わせると累計6兆円以上。一国が他の一国に与えた援助額としては史上最大の額である。

その金の大半は中国のインフラ整備に回され、例えば北京空港建設に300億円、上海空港建設には400億円もの日本人の血税が注ぎ込まれた。

空港、港湾、道路、鉄道、都市基盤整備、ありとあらゆるインフラ開発に日本の金が注ぎ込まれたが、しかしその事実は中国国民には一切伏せられた。こうして中国は自国で負担するべきインフラ整備費用を日本に出させることで、浮かしたカネを全て軍拡につぎ込むことができたのである。

日本の自虐史観による対中謝罪外交が、そして日本から注ぎ込まれた膨大なカネと技術が、世界覇権を狙う中国という巨大なモンスター国家をつくりあげたのだ。従って日本はこのモンスター国家を封じ込める責任と義務を全世界に対して負っている。

2012年9月の官製の反日暴動デモにおいて「収回琉球・解放沖縄」というプラカードが多数掲げられていた事実をご存知だろうか。北京にはすでに中共政府公認の「琉球共和国本部」(でっちあげられたニセ亡命政権)があり、すでに琉球共和国憲法や琉球共和国国旗までもが決定されている。

同9月19日に人民日報系の環球時報は「沖縄は日本が19世紀末に清国から奪った」「沖縄の75%の住民が日本からの独立を望んでいる」「日本政府は沖縄住民の独立要求を抑え込んでいる」などと報じ、9月25日に中国政府が発表した「中国固有領土釣魚島白書」においては「米国の沖縄返還はサンフランシスコ講和条約に基づくが、中国は同条約に調印していないので無効であり束縛されない」と宣言しているのだ。

実は中国が沖縄に触手を伸ばす野望を露にしたのは今回が初めてではなく、2010年8月に中国政府系の社会科学院が「沖縄の主権は中国に属する」という主張を始めている。

2011年9月には中国主導で沖縄を独立させる目的の「中華民族琉球特別自治区委員会」なる組織が成立し、その準備費用に中国共産党は約50万ドルの予算を支出しているのだ。

「日本は米国のように中国に傷を負わせる強さもない国」(「環球時報」同10月18日付)と日本をなめきった中国は、もはやその野望を隠すことすらなく、沖縄を中国の属国「琉球共和国」として独立させ日本から奪い取る政治工作を推進しているのである。

その布石として2004年に中国は沖縄に「沖縄華僑華人総会」を結成させて地元での思想工作・プロパガンダ工作・買収工作・情報収集を指示し、同会と地元のマスコミ・左翼系政党・左翼団体との連携を推し進めてきた。

2012年3月には中国の意を受けた沖縄の左翼団体が国連人権委員会に「琉球人は日本政府から人種差別を受けている」「沖縄は韓国や台湾のように日本に植民地支配されていたので、沖縄が日本領であることはポツダム宣言違反」などという申し立てを行い、国連から日本政府に質問書が届くという異常事態すら起きている。

沖縄独立工作はもはや絵空事ではなくなりつつあるのである。

尖閣諸島については中国は膨大な金をばらまいて「尖閣は中国領である」という国際的プロパガンダ及びロビー工作を推し進めている。

このように宣伝戦で国際世論を味方につけながら、領海侵犯を日常化させることで「実効支配している」という口実をつくり、タイミングをみて民間漁船を装った海軍陸戦隊を送り込んで上陸させ、漁民の保護という口実で人民解放軍に島を占領させる戦術をとる可能性が高いものと予測できる。

このように中国の意図は明らかであるのに、日本政府はその現実から目をそらしてひたすら中国との衝突を回避しようとして弱腰の対応を続けてきた。

パラオのような小国ですら中国船の領海侵犯には銃撃で応じているのに、中国の顔色を伺うだけの妄想平和主義の日本は領海侵犯者を銃撃で追い払うこともできずにいる。

さて今、私たちの未来には2つの可能性が存在している。現在の日本の決断しだいでどちらの未来が到来するかが決まる。

まず第1の未来は、日本が中国との冷戦を戦い抜く決断ができずに尖閣諸島を中国に占領されてしまう未来だ。それは中国が「海からの包囲網」の一部を打ち破って太平洋への出入り口を得ることを意味する。

その場合、中国は尖閣を基点にして同海域に中国海軍を展開し、台湾と沖縄米軍基地は遮断され、米国による台湾防衛は至難となる。軍事的に孤立した台湾は時間の問題で中国に併合されていくだろう。

日本の物資輸送の生命線たる最重要シーレーンを擁する貴重な親日国が中国の一部となるのだ。日本の貿易は99.7%が船舶による海上輸送であり、原油の9割はこのシーレーンを通じて輸入されている。このシーレーンを中国に遮断されれば日本の命運は尽きる。

またアジアで唯一中国に対抗できる国力を持つ「最後の砦」である日本が中国に屈従して固有領土を奪われたという事実は、台湾に続いてASEANや韓国がドミノ倒しのように雪崩をうって中国の覇権下に呑み込まれていく引き金になるだろう。「あの日本ですら固有領土を守れなかったのだから最早中国に抵抗しても無駄だ」という諦めをアジア諸国に引き起こすのだ。

尖閣奪取に端を発するドミノ倒しのとどめは沖縄県の「琉球共和国」としての独立だ。傀儡国家となった「琉球共和国」は中国と安全保障同盟条約を結び、米軍を退去させて沖縄には人民解放軍が駐留して日本本土をいつでも攻撃できる態勢を築くだろう。

台湾と沖縄が事実上中国に奪われた場合、日本は「中国の海」に浮かぶ孤立国となり、驚異的なスピードで国力を衰退させ、やがては自国で自由に選挙すらできないような完全な中国の属国となるだろう。

長期的にみればウイグルやチベットのように自治区として併合されてしまう可能性も大いにある。

2600数十年続いたこの国がチベットのように消滅しかねないのだ。すなわち天皇陛下がダライ・ラマのようになってしまう悪夢の未来だ。

ではもう1つの未来の可能性とは何か。

日本が「戦後体制」と訣別して中国との冷戦を戦い抜く決断を固め、冷戦に勝利するために必要なあらゆる戦略を駆使するという選択を行った場合だ。

自虐史観を捨てて謝罪外交と決別し、集団的自衛権の行使をもって日米同盟を強化し、憲法改正を成し、中国に対抗できる防衛力増強(専守防衛の撤廃、攻撃的防衛力の保持)を確保するという選択である。

すぐに核武装ができなくても中国に核で威嚇されない抑止力を持つためには、せめて米国とのニュークリア・シェアリングは最低不可欠であろう。

妄想平和主義から脱却して「軍事力を行使してでも尖閣を防衛する」という明確な国家意思を示し、集団的自衛権に担保される日米同盟が揺るぎ無い結束を維持すれば、現在日本が実効支配している尖閣が奪われることはない。従って中国に従属する国家のドミノ倒しは起こらない。

これらの防衛力増強と併行して為すべき国際戦略は、中国を警戒するインド・ASEAN・オーストラリアなどと組んで強固な対中包囲網を築き、日米同盟を基軸にしたアジア版NATOを創設することだ。中国の属国と化しているカンボジアとラオス以外は、ASEANのほとんどの国がアジア版NATOに結集するだろう。

武器輸出制限を撤廃して日本の高度な技術力で開発した兵器をフィリピン・ベトナムやインドに供給し、自衛隊がその指導にあたることで安全保障の連携も強化できる。

また、中国に依存しない日本経済システム構築のために至急に日本企業へインドやASEANへのシフトを促し、利敵行為そのものである円・人民元の直接交換を中止することも急務である。

米国と協力して人民元経済圏を全力で阻止し、アジア版NATO諸国を軸とした円経済圏を推進する。これらの国際戦略によって中国の封じ込めは可能となる。

そして日本にとって日中冷戦に勝つ最大の切り札となるのが台湾の存在である。

台湾人口2300万人のおよそ4分の3を占める本省人は概して親日的であり、東日本大震災に対して世界一多額の240億ドルもの義援金を送ってくれた。しかし4分の1の外省人が政治・メディアを牛耳っているため、親中メディアは反日的プロパガンダによる日台分断工作を続けており、中国の対台懐柔工作も日増しに進行している。

この状態を日本がこのまま放置すれば、台湾世論がいつまでも親日だとはかぎらないのだ。

台湾が尖閣諸島の領有権を主張しているのは主に漁業権の問題である。現在日本は豊かな漁場である同海域から台湾漁船を締め出している。日本は同海域で台湾に自由漁業権を認め、また尖閣海域の天然資源開発についても台湾をオブザーバーとして共同参加させるべきであろう。

かつては日本であった台湾はいわば特別な絆で結ばれた兄弟国であり、日本の生命線であるシーレーンを擁する大切な親日国だ。漁業権だの資源だのといった経済的な側面ごときと引き換えにはできない地政学的要衝でもある。日本がこれらの対台政策を実行すれば、台湾の民心は間違いなく日本の味方についてくれる。

そして日本が日中冷戦に勝利する最大の鍵は台湾を国家承認して国交を回復することだ。現在台湾と国交を持つ国は23カ国ある。日本がどの国と国交を結ぼうが主権国家である日本の自由である。

実は米政界においても、まだ主流の動きではないものの対中牽制のために台湾と国交回復しようという動き(2012年5月の米下院「台湾国家承認に関する第122号共同決議案など)が起こり始めているのだ。

日本は米国に対して国力を総動員してのロビー活動と説得交渉を行い、日米同時の台湾国交回復を主導するべきである。反中親台派の多い共和党は下院議席の過半数を占めており、日本が共和党を味方につければオバマ政権も動かざるを得なくなる。

日米が台湾を正式な独立国家として承認して国交を交わせば、次なる段階は日米台安保の締結である。日米台安保が実現すれば中国は太平洋への出入り口を完全封鎖され、海洋覇権を得ることは叶わず大陸に封じ込められ、世界覇権を手にすることは不可能となる。日米による台湾の国家承認は多くの国の追随を招き、おそらく台湾は世界中の主要国と国交を結ぶことができるだろう。

台湾の完全独立は長年「1つの中国」を唱えてきた中国共産党の権力基盤を揺るがし、チベットやウイグルなどの独立運動も勢いづいてフォルトライン紛争が続出し、紛争に触発された貧困層の暴動から中国は内戦状態に陥る可能性が高い。中国共産党政権は崩壊に至り中国は複数の国に分裂するだろう。分裂後の旧中国の中小諸国はもはや世界覇権を狙う意思も力も失うことは必定である。

中共政権が崩壊すれば、食糧やエネルギーを丸ごと中国に依存する北朝鮮も崩壊し、北朝鮮は米国主導のもとに韓国が併合するだろう。

中朝の崩壊によってアジアから危険な独裁国家は消滅し、ASEAN諸国やインドは高度経済成長を続けながら日本を政治的リーダーとしてアジア連邦構築の未来へ向けて動き出すであろう。平和なアジアが世界経済を牽引する新しい時代が到来するのである。これが2つめの未来の可能性だ。

このように180度異なる2つの未来が私たちの前に待ち受けている。悪夢のごとき未来と、黄金のごとく輝ける未来。いずれの未来へと向かうのか、その全ての鍵は日本の「戦後体制」からの脱却に賭かっているのである。あえて何度も繰り返すが「戦後体制」とはすなわち自虐史観のことである。

来る総選挙において、私たちが選ばなければならないのは「自虐史観から脱却している議員」、まさにこの1点に尽きる。

党派などどうでもよい。世襲などどうでもよい。自民党であっても維新の会であっても民主党であっても、自虐史観から脱却している議員を選ぶこと、第二次安倍政権の目指す理想を共有できる議員を選ぶこと、それが日本が再生を果たし日中冷戦に打ち勝つために必要不可欠な第一の関門となるのである。

日本の未来は有権者たる国民の意識に委ねられている。

どうか忘れないでほしい。そして1人でも多くの国民に伝えてほしい。

この総選挙の結果は、日本が2つの異なる未来のいずれを進むのかを決定づける最も重要な分岐点となる。

それは日本に与えられたラストチャンスだといっても過言ではない。願わくば愛する祖国に再生の黎明の光あらんことを切に祈る。(平成24年11月23日 新嘗祭に記す)



日本興亡の分岐点 安倍待望論 番外編 Part1
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201211article_10.html


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マスコミが安倍晋三を叩く理由
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201211article_9.html

日出づる国の光芒 前編
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201210article_5.html

日出づる国の光芒 中編
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201210article_6.html

日出づる国の光芒 後編
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201210article_7.html

反日を国是とする中国 Part1
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201208article_2.html

反日を国是とする中国 Part2
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201208article_3.html

中共の「日本弱体化」戦略 Part1 中国に貢がれた日本の血税
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201207article_10.html

中共の「日本弱体化」戦略 Part2 強請られる政治家と官僚たち
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201207article_11.html

中共の「日本弱体化」戦略 Part3 反日史観と歴史捏造の理由
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201207article_12.html

中国共産党の本質
https://fuulinkazan.seesaa.net/article/201006article_1.html

中国 十年以内に日本を核攻撃
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中国人女優 中共のスパイ強要を暴露
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